「演奏が上手いよね」と若手作家やアレンジャーが良く言うのですが「演奏が上手い」って言っているのはクリックに正確で音程を外さない、という2点かなと思います。確かに間違っていないのですが、僕がいう演奏が上手いというニュアンスには別の意味があったりします。自分的にはクリックに合ってなくても、音程が悪くてもその人にしか出せない「音」、「フレーズ」、「ヴォイシング」だったりします。いわゆる「個性」です。今やクリックに合わせて音を外さないで演奏出来るミュージシャンは山ほどいますが、飛び抜けた個性を持っている人は限られてきます。これは生まれ育った環境や聞いてきた音楽、そして、いかに自分と向き合って音楽を勉強してきたか、という3つに絞られると思っています。そしてこういった事を判断出来るようになるには自分も大量の音楽を聞いている必要があります。譜面を正確に演奏する事だけに拘っていない自分としてはレコーディングでもコロコロと別の注文をしたりします。その時、その空間、そのミュージシャンでないと生まれ得ないものを欲しているし、そこにこだわりたいと思っています。