よっぽどの文才と音楽知識がない限り、言葉で音楽を表現するのは非常に難しいと思います。自分ですら自分の音楽を言葉では表現しきれません(笑)。よって、ゲームなど資料がなく音楽を字面で説明されても明確な音楽を書くのは非常に難しいのです。(特に日本語においては)しかもそういう時に限って書いた音楽に何故か没を出されるという。あと、前に言っていた事と180度方向性が変わっているということもしばしば・・・。ちなみに、海外の場合、没は3回までというのが契約に記載されている場合もあります。3回までは作家の技量が足りなくて没を食らう場合がありますが、3回以上は明らかにディレクションのミスという判断をされます。要するに書いてもらいたい音楽をちゃんと説明出来ていないということですね。どうなるかと言いますと、もう一曲分のギャランティが発生します。なのでディレクションをする人もちゃんと的確な指示をしなければ、という責任感が出るわけです。しかし、日本のゲーム業界ではどうして毎回こういう事が起きるのか? 理由は簡単で音楽に詳しく、曲を書いたことのある人が窓口になっていないからなんですよね。他言語を自国語に直す時に知識のない人がトランスレートするようなものなんです。なので、本当にいいものを作りたいなら専門の音楽ディレクターを立てるか、全てを作家にまかせるしか方法はないんですよね。これまでスクウェアに在籍していたとき、マニピュレーター、サウンドデザイナーという専門職をつくってきた自分ですが、今必要なのは音楽ディレクターだなーとヒシヒシと感じています。